はじめに|稚魚が育つ田んぼの物語
琵琶湖の水が用水路を伝い、春には小さな魚が田んぼへと遡上します。
そこは文字どおり「ゆりかご」。稚魚が育ち、秋には再び湖へ帰っていきます。
この循環を守りながらお米を育てる取り組みが「魚のゆりかご水田」です。
本特集は、「魚のゆりかご水田米」の営みで実践されている知恵と仕組みを整理してお伝えするものです。
「琵琶湖システム」とは何か。
魚のゆりかご水田が地域にもたらす価値は何か。
そのお米が、私たちの食卓でどのように活きるのか。
読み終える頃には、風景と食を結ぶ線が一本につながるはずです。
なお、当社の米麺には二つの系統があります。
魚のゆりかご水田米を100%使用したシリーズ。
そして もりケロふぁーむ(微生物農法)のお米を使ったシリーズです。
誤認を避けるため、ロゴ表示は 魚のゆりかご水田米100%使用商品のみに限ります。
尚、2025年8月現在の全商品共通で、原材料は「米+馬鈴薯澱粉」のみです。塩や増粘剤は不使用です。
世界農業遺産「琵琶湖システム」とは
琵琶湖システムは、森・川・湖・田んぼ・集落・漁業がひとつながりで機能する地域の暮らしの仕組みを指します。
単なる自然保護ではなく、人が生業を続けながら生態系と共に循環をつくる“生きた農業システム”であることが特徴です。
国際的にも、その独自性と継承の価値が評価され「世界農業遺産(GIAHS)」に認定されています。
湖と田んぼが循環する仕組み
山の保水力が雨を受け止め、清水は川を下り、琵琶湖へ注ぎます。
湖の水は用水路を通じて田んぼへ入り、稲作に利用されます。
春には小魚が用水路や魚道を伝って田んぼへ遡上し、稚魚期を過ごします。
秋には収穫とともに水が湖へ戻り、栄養と生きものの循環が完結します。
この往復運動が、水質の維持、生物多様性、景観、そして地域経済を同時に支えています。
受け継がれてきた知恵と実践
水位や水温に合わせた水管理。
湖に配慮した農薬・肥料の使い方。
河岸や内湖の環境を守る共同作業。
漁業では季節や回遊に沿った伝統漁法が育まれ、農と漁が競合ではなく補完として存在してきました。
これらは“やり方”だけでなく、地域で守るという合意形成のしかたまで含めた知恵の蓄積です。
なぜ評価されるのか
一点豪華主義の技術ではなく、多面的な価値が同時に成り立つことが評価の軸です。
水源林の保全が下流の水質を守り、稲作が湖と生きもののゆりかごを支え、文化と観光が地域の糧になる。
気候変動や人口減少のなかでも持続可能性を示す、実装済みの地域モデルであることが強みです。
「魚のゆりかご水田」との関係
「魚のゆりかご水田」は、琵琶湖システムの思想を田んぼの現場で具体化した取り組みです。
稚魚が田んぼで育つという事実は、循環が機能している明快な指標のひとつです。
魚のゆりかご水田とは
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*引用元:滋賀県公式サイト
「魚のゆりかご水田」は、湖と田んぼを再びつなぎ直す取り組みです。
用水路や魚道を整え、春に湖から小魚が田んぼへ遡上して産卵・成長できる環境をつくり、秋には湖へ戻る——この循環を地域ぐるみで再生します。
滋賀県が進める公式プロジェクトとして、背景・方法・効果・年間サイクルまで整理されています。
仕組み(何をしているのか)
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田んぼと水路の高低差や流速を調整し、稚魚が出入りできる魚道を設置。
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水管理(湛水・排水)を魚のライフサイクルに合わせて運用。
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湖岸〜内湖〜用水路〜水田を連続した生息空間として捉え直す。
これにより、田んぼは“育てる場(稚魚の保育場)”として機能します。
魚のゆりかご水田の一年
春:遡上期に合わせて入水・魚道を開く。
初夏:稚魚の成長を見守りつつ除草・水位管理。
夏〜初秋:中干し・出穂期は生育と生きものの両立に配慮。
秋:収穫とともに水が湖へ戻り循環が完結。
この年間サイクルは県の資料でも図解されています。
期待される効果(なぜ価値があるのか)
琵琶湖システムとのつながり
この取り組みは、「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」の現場実装と言えます。
GIAHS(世界農業遺産)として評価されたのは、生業と生態系の循環が同時に成り立つ点でした。
*引用元: 滋賀県公式サイト
安心して選べる理由|ロゴの意味と当社の約束
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ロゴが示すこと
「魚のゆりかご水田米」ロゴは、認証を受けた米にのみ付けられる“証明印”です。
認証米は、稚魚が育つ環境配慮型の水田で生産されたお米で、制度上ロゴ表示の対象が明確に定められています。
*引用元:滋賀県公式サイトsakana-yurikago.com
2つのラインの違い(見分け方)
表示ポリシー
当社は誤認防止のため、魚のゆりかご水田米100%の商品のみにロゴを掲出します。
各商品ページで使用米を明記します。
原材料のシンプルさ(全シリーズ共通)
米+馬鈴薯澱粉(つなぎ)+水のみ。
塩・増粘剤・保存料・着色料・香料・pH調整剤は不使用です。
全シリーズ共通、無農薬米を使用しています。
※馬鈴薯澱粉は北海道産を使用し、麺の弾力と成形性を保ちます。
*引用元: 滋賀県公式サイト
データで読む価値|環境と社会への寄与
環境面(循環を守る仕組み)
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稚魚の“保育場”を取り戻す
琵琶湖の魚が産卵・成育できるよう、田んぼと水路に魚道を整え、出入りを確保します。
田んぼが生物多様性の要として機能することが制度趣旨として明示されています。
引用元:FAOHome滋賀県公式サイト
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認証基準による水環境配慮
「魚のゆりかご水田米」は県の確認を受けた認証米で、魚道の適正設置、稚魚の現地確認、水産動植物に影響を及ぼすとされる種類の除草剤は不使用といった要件が定められています。
尚、当社で扱うお米は、無農薬米を厳選しています。
引用元:滋賀県公式サイト
社会面(地域・学び・経済)
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地域参加と環境学習の土台
体験・観察などを通じて、子どもから大人までが田んぼと湖の関係を学ぶ機会が生まれ、地域で循環を守る合意形成が進みます(県公式「プロジェクト」解説より)。
*引用元:滋賀県公式サイト
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“琵琶湖版SDGs”との接続
県は「Mother Lake Goals(MLGs)」を掲げ、環境と経済・社会活動の健全な循環を目標化。
魚のゆりかご水田の考え方はこのフレームと整合しています。
*引用元:mlgs.shiga.jp+1
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世界農業遺産(GIAHS)という評価軸
FAOの説明でも、内水面漁業と水田農業が一体で資源を持続させてきた地域システムとして、琵琶湖システムの国際的価値が位置付けられています。
*引用元:FAOHome+1
「魚のゆりかご水田米」は、制度に裏づけられた環境配慮の米であり、学びと地域参加を生む“循環の要”。
その背景には、GIAHSの評価とMLGs(琵琶湖版SDGs)という政策文脈があります。
「魚のゆりかご水田」の一年
3〜5月|代かき前に魚道を設置
排水路に魚道を据え付けます。方式は、排水路全体の水位を段階的に上げる堰上式と、田んぼ一筆ごとに設ける一筆型の2タイプ。ここから準備が始まります。
5〜6月(降雨時)|湖からの遡上を受け入れる
降雨に合わせ、ニゴロブナ・コイ・ナマズなどが魚道を通って琵琶湖から田んぼへ向かって遡上。田んぼ側では深水管理や、少雨時の堰板(いちぶつ排水枡)の操作で受け入れ体制を整えます。
5〜6月|田んぼの中で産卵
親魚は入田後すぐに産卵。水温が高い田んぼは産卵に有利とされ、人工魚巣に卵が産み付けられる事例も確認されています。
5〜6月|稚魚の成長
田んぼにはプランクトンが豊富なため、ふ化直後の仔魚が短期間でぐんと育ちます(田んぼは稚魚の“保育場”)。
6月中旬(中干し前)|溝切り
中干しに先立ち、田面に溝切りを実施。これにより稚魚が排水路へ流下しやすくなります。
6月下旬|魚道撤去と稚魚の帰湖
魚道を撤去し、堰板を外して排水路の流れを回復。約1か月で2cmほどに成長した稚魚は、排水路を通って琵琶湖へ帰っていきます。ここで“田んぼ保育”のサイクルが完結します。
上記は滋賀県の公式解説に基づく標準的な流れです。降雨や気温などの年変動で前後する場合があります。
*引用元:滋賀県公式サイト
商品紹介|米麺への展開
彩食美麺・魚のゆりかご水田米100%の米麺(ロゴ表示あり)
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原材料:米(魚のゆりかご水田米100%)/馬鈴薯澱粉(北海道産・つなぎ)/水。
※塩・増粘剤は不使用。
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価値:稚魚が育つ田んぼで生まれた認証米をそのまま麺に。物語と品質が一本でつながる“限定”シリーズ。
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食べ方:
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ゆで時間目安:1分30秒〜3分(お好みの硬さで)。
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スープ麺(だし・鶏がら・フォー風)、焼き麺(油なじみ◎)、冷やし(つゆ・胡麻だれ)。
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家族向け:小さめに折って離乳食〜やわらか食にも調整しやすい。
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表示:商品ラベルに「魚のゆりかご100%(ロゴ)」バッジ。商品詳細に使用米・原材料・ゆで時間を明記。
彩食美麺・もりケロふぁーむ〈微生物農法〉ライン(ロゴ対象外)
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原材料:米(もりケロふぁーむ・微生物農法)/馬鈴薯澱粉(北海道産)/水。
※塩・増粘剤不使用。
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価値:日々の食卓に寄り添うレギュラーライン。畑土壌の微生物循環を重視した米づくりの良さを、麺の食べやすさで。
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表示:ロゴ対象外。商品詳細に使用米(もりケロふぁーむ産)・原材料・ゆで時間を明記。
2つのラインの“見分け方”
おいしく仕上げるコツ(共通)
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たっぷりの沸騰湯でゆで、表示時間の30秒前から食感確認。
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スープ麺は湯切りを軽く(麺表面の水分でスープがなじむ)。
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焼き麺は水洗い→水気を切る→油を薄くひいたフライパンでサッと。
レシピ・シーン提案
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フォー風・鶏だし+小ねぎ+ライム(香り良し・軽い一杯)
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滋賀野菜の焼き麺(菜種油で香ばしく。仕上げにだし醤油)
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やわらか麺の湯だめ(小さく折ってやわらかめにゆで、家族の介護食・お子さまにも調整しやすい)