原爆が投下された長崎において、自身が被爆しながら、　食事療法により　身を守る方法を実践して伝えられている医師がいらっしゃいました。

秋月辰一郎（あきづきたついちろう）氏です。

長崎に原爆が投下された時、爆心地から１.４km離れた病院（浦上第一病院、戦後聖フランシス病院と改名）で　病院スタッフや患者を原爆症から逃れさせています。

秋月氏、奥さん、病院で働く看護師さん方は原爆症にかからなかったそうです。　

その原因の一つに「わかめの味噌汁」があると著書に記されています。

以下引用

「食塩、ナトリウムイオンは　増血細胞に賦活力を与えるもの、砂糖は造血細胞毒素。玄米飯に塩をつけて握るんだ。からい濃いみそ汁を毎日食べるんだ。砂糖は絶対いかんぞ！砂糖は血液を破壊するぞ！」

1986年　チェルノブイリ原発事故が起こった時、秋月医師の手記『長崎原爆記』の英訳がされていたので、西欧諸国へ日本からの味噌の出荷量が爆発的に増えたという逸話があります。

チェルノブイリ原発事故前は、海外への味噌出荷量は　年間約２トンほどだったそうですが、チェルノブイリ事故と秋月医師の手記英訳後は、年間１４トンまで出荷量が増えたそうです。

彼の著書『食物と体質』という本は、わずか６０ページほどの記述ですが　　食物と体質の要は　”味噌”　であると唱えられています。

放射性物質に対応するための知恵に限ったことではなく、良いコンディションを保つための　基本的な方法でもあり、生活習慣病、がんなどの食事法としても応用できます。

ご飯と味噌汁、漬け物　という食事は日本人に非常に合っている食事

ご飯

ご飯は、精白された白米でなく、玄米、雑穀が理想です。

白米は、「粕」の字の通り　多くの栄養素が欠如しています。

玄米については、「フィチン酸」と「農薬・放射能」の問題をあげて　批判される方もおられます。

たしかに、私も10年ほど前　　オルター会員さんから「フィチン酸」と「アブシジン酸」の話を聞き、10時間浸水させて毒をだしてから炊いた方がいいと習いました。玄米に限らず雑穀もです。（発芽玄米にすることで「フィチン酸」を分解し、　発芽抑制因子「アブシジン酸」を無害化するというもの）

玄米を浸水させていたら、手間もかかりますし、雑菌が繁殖しやすくなります。極端な話をすれば食中毒の原因になるような菌が繁殖する可能性もあります。私は、この話を聞く前に、既に　美味しく炊ける玄米の炊き方を学んで実践していたので、直観的ににわかに信じ難かったです。

私自身は、玄米は浸水させずむしろ短時間で炊き上げる（＝湯炊きする）方がおいしくできると考えており、わざわざ発芽させる必要はないと思っています。　これは雑穀にも同じことが言えます。　（水に浸しておくと　苦く味が変わることがあります。）

フィチン酸は、玄米の胚芽や表皮に含まれる物質で、金属イオンを結合する　「キレート作用」により、体内のミネラルを結合させ、排泄してしまうという説があります。大豆など豆類や、野菜(ユリ科）、海藻の中にもキレート作用のある食べ物は多く存在していますし、美容や健康のためにはよい作用なのですが、、、

しかし、最近の研究では　実は　玄米や他の食べ物にも「フィチン酸」という物質は存在していないことが分かっています。

玄米に含まれているのは　フィチン酸ではなく、フィチン酸に金属イオン（ミネラル）が結合した「フィチン」で、玄米の胚芽や表皮に含まれていると分かっています。

「フィチン」は、体内に取り込まれる前から既に複数のミネラルと結合しているため、体内のミネラルと結合することはなく、体内のミネラルを排出してしまうこともないのです。体内に取り込まれて、胃の中で分解されて初めて「フィチン酸とミネラル」になります。

玄米を食べることで、体の中で分解されて　はじめて「フィチン酸」となり、キレート作用を発揮するのです。

もともと　玄米はミネラルを多み、その量は　白米の数十倍と言われています。

同じ量の白米を食べる場合と比べても、　体内のミネラルが増えることはあっても減ることはないです。

炊いた状態の玄米では、排毒作用は弱まり、体内に取り込まれてしまった農薬や添加物などの化学物質をデトックスする働きをします。

フィチンは抗がん効果、心臓・血管疾患の予防効果があることもわかってきています。

みそ汁

「からい濃いみそ汁」　というのは、塩分ではなく発酵食品であることに意味があります。

現在のスーパーに並んでいる味噌の多くは、添加物が入っていることが多いので注意が必要です。

味噌の原料は　本来、大豆、麹、塩　この３つだけです。　1年以上かけてゆっくり発酵熟成されたお味噌を選びましょう。